ドイツ弁護士 亘理興

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費用



    弁護士報酬


    弁護士報酬は、法律または合意によって定められます。

    1.法定報酬

    法定報酬は、いわゆる弁護士報酬法(Rechtsanwaltsvergütungsgesetz)によって規定されています。

    法律が定める弁護士報酬は、弁護士が行う様々な活動によって発生します。
    弁護士の活動を相談、裁判外の代理、そして裁判手続きにおける代理に区別すると、法定弁護士報酬が分かりやすくなります。

    ア)相談料金

    相談料金は、相談によって生じます。
    相談料金は、弁護士とクライアントが合意によって設定すべきであることが、弁護士報酬法に規定されています(第34条1項1文)。
    もし相談料金に関する合意が無い場合には、弁護士報酬法の規定に基づき算定されます。

    当事務所では、個別のケースにおける事情(とくに事案の難易度、事案処理にかかるであろう時間、活動範囲、手間等)を総合的に考慮して、相談料金を提案させていただきます。

    イ)裁判外の代理および裁判における代理

    裁判外の代理および裁判における代理の弁護士報酬は、次のように算定されます。

    まずは、法律分野によって、法定料金の算定の仕方は異なります。

    いわゆる対象価格による算定
    この方法は、とくに民事事件や行政事件に該当しますが、社会法の一部や刑事弁護などには当てはまらないので、ご注意願います。
    また、料金体系を大まかに理解していただくために簡略化した説明ですので、詳細は割愛させていただきます。詳しくは、個別にお問い合わせください。

    とても簡単に説明すると、一つ一つの事案の価値(①)によって料金を定めて(②)、その料金を弁護士の活動によって異なる料金レートと掛けます(③)。

    ①対象価格の算定
    対象価格(Gegenstandswert)とは、事案が有する価値を意味します。その価格の定め方は、弁護士報酬法によって規定されています。
    例えば、クライアントが相手方に貸した400ユーロの返還を求める場合、対象価格は400ユーロです。

    ②料金の算定
    対象価格によって、料金が段階的に設定されています。
    弁護士報酬法・付属表2(2015年6月現在)

    対象価格…ユーロまで 料金(ユーロ)
    500 45
    1000 80
    1500 115

    この表の続きは、こちらでご覧になってください。

    上の例えだと、対象価格が400ユーロなので、料金は45ユーロです。

    ③料金レートと掛ける
    ②の料金に、弁護士の個々の活動内容に関して、法律に規定されている料金レートを掛けます。

    例えば、弁護士が上の例で裁判を起こす前に相手方に支払いを求める場合、その活動によって発生する料金レートは、弁護士が個別のケースにおける事情(とくに事案の難易度、事案処理にかかる時間、活動範囲、手間、 クライアントの財産・収入状況、クライアントにとって事案が有する意味等)を総合的に考慮して、0,5から2,5までの枠内で設定します。

    上の例だと、もし事案が難しくて手間がかかり、弁護士が料金レートを1,8に設定した場合、弁護士料金は、45x1,8=81ユーロになります。

    そのほかにも、裁判手続きによって生じる料金、和解によって生じる料金等、様々な料金が弁護士報酬法に規定されています。

    ④その他の料金および19%の売上税
    ③の金額に、その他の各種料金(とくに郵便料金・電気通信料金、場合によっては旅費、不在費等)と19%の売上税を加算した金額が、弁護士料金です。 クライアントが消費者として弁護士に依頼し、さらにクライアントの居住地がEU加盟国外である場合、ドイツにおける売上税は発生しません。

    以上が、対象価格による料金算定法です。
    対象価格は法律分野や事案によって大きく異なるので、ぜひ個別にお問い合わせください。

    2.報酬についての合意

    事案によっては、法定料金では、弁護士に生じる手間暇やリスクをカバーしきれないことがあります。
    そのような場合には、当事務所では、報酬について、別段の合意をすることを提案させていただきます。

    裁判になった場合、原則的に敗訴した側が、裁判費用と勝訴した側に裁判によって生じた弁護士費用を負担しなくてはなりません( 家庭事件においては、この原則が適用される分野と適用されない分野があります)。

    その際に償還される弁護士費用の上限は、原則的に、法定料金です。

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